2013年度本屋大賞第1位を獲得した百田尚樹氏のベストセラー「海賊とよばれた男」が山崎貴監督のメガホンで映画化されることになり、出光興産創業者の出光佐三氏をモデルにしたといわれる主人公・国岡鐵造を岡田准一が演じることが明らかになった。2人は、興行収入87億6000万円を記録した「永遠の0」(13)を大ヒットに導いて以来のタッグ。ともに全幅の信頼を寄せており、不退転の覚悟で10月中旬から撮影に挑んでいる。上下巻の累計発行部数が364万部を突破する同名原作は、主人公の国岡鐵造が明治・大正・昭和という激動の時代を舞台に、名もなき一青年から身を興し、やがて石油事業を通じて戦後の日本に大きな勇気と希望を与えていく姿を描いた一大抒情詩だ。映画では、戦後の復興から日承丸事件をクライマックスとする軸の中に、若き鐵造と仲間たちとの絆、“海賊”と呼ばれるきっかけとなった北九州・門司でのエピソード、満州での石油メジャーとの戦い、離ればなれになった最愛の妻への思いなどを回想として盛り込みながら描いていく。岡田は、本年度の第38回日本アカデミー賞で最優秀主演男優賞(「永遠の0」)、最優秀助演男優賞(「蜩ノ記」)をダブル受賞し、名実ともに日本を代表する俳優のひとりへと成長した。今作では、国内外の圧力に屈することなく石油事業を通して日本人の誇りを追求し、情熱を傾け続けた熱き男の“海賊”と呼ばれた青年期から、従業員を誰ひとりとして解雇することなく“家族”として接し、数々の困難を乗り越え“侍”と恐れられた老年期までを演じきる。出演オファーを受けた当初は驚いたというが、「山崎貴監督が『共に戦おう』とおっしゃってくださいました。山崎監督をはじめとした『永遠の0』チームで再び撮影できることを大変嬉しく思いますし、主人公の国岡鐵造のように数々の苦難を乗り越え、道を切り開いていく姿を体現できたらと思っています」と気合十分。さらに、「激動の時代を生き抜いた人物をしっかり演じられるように頑張ります。皆様に楽しんでいただける作品を目指し、スタッフ、キャストの皆様と共に一丸となって、撮影を乗り切りたいと思います」と語っている。単独で脚本も手がけている山崎監督は、映画化しようと思った理由を「終戦直後のあの時代、皆が下を向いていたときに、とんでもないことをしでかした男たちがいたということへの驚きが原動力です。その背景を探求したくなった」と説明。岡田起用についても、「ひとりの役者で若い時代から壮年までを通したいと思いました。それを実現できるのは岡田君しかいないと思いました」と明かした。今作には、「永遠の0」チームが再結集し、製作に臨んでいる。空襲により廃墟と化した東京、イランへと向かう大型タンカー・日承丸の勇姿など、山崎組史上最大規模のVFXを駆使した圧倒的な映像美も見どころのひとつとなる。山崎監督は、「『永遠の0』がライバルになってしまうので大変です(笑)。戦中から戦後へ……、この作品はある種『永遠の0』と対になる作品になるのではと思っていますので、ちゃんと対抗できる作品に育てたいと思っています」とコメントを寄せた。2016年1月にクランクアップを予定し、同8月下旬の完成を目指す。「海賊とよばれた男」(http://kaizoku-movie.jp/)は、2016年冬に全国で公開。